11/10/2020

ブライアン・ペドル大将によるメッセージ(11月8日のため)

ブライアン・ペドル大将が、インターネット(Facebook)で発信したメッセージの要旨を紹介します。

  

 わたしたちは、『出エジプト記』を19章まで読み進んできました。

イスラエル〔の民〕は奴隷として抑圧され、ファラオ〔エジプトの王〕の暴政に縛られていましたが、もはや自由の身になりました。

モーセに導かれて、ヘブライ人〔と呼ばれていたイスラエルの民〕は紅海〔葦の海〕を渡り、シナイの荒れ野に到着しました。イスラエルの民はシナイ山を前にして宿営し、モーセは神にお会いするために山を登りました。

主はモーセをご自分のもとへと招き、次のように語れました。

イスラエルの人々に告げなさい。
あなたたちは見た
わたしがエジプト人にしたこと
また、あなたたちを鷲の翼に乗せて
わたしのもとに連れて来たことを。
今、もしわたしの声に聞き従い
わたしの契約を守るならば
あなたたちはすべての民の間にあって
わたしの宝となる。
世界はすべてわたしのものである。
あなたたちは、わたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる。(3~6節)
 

神がイスラエル〔の民〕にお与えになったものは、神からの召命、すなわち〔神の民になるという〕使命でした。ファラオの圧政から解放されることは、それ自体が目的ではありませんでした。それはイスラエルの使命の始まりだったのです。

イスラエルが「聖なる国民」になるとは、神の〔聖なる〕ご性質を体現する民にならなければならないということです。それは世界の諸民族の中で唯一無二の〔ユニークな〕存在となりなさいと言われたのです。

また、〔神からの〕使命には「祭司の王国」になることも含まれていました。イスラエルはこの後、アロンとその子孫に続くところの祭司〔の職務〕を立てていくこととなります。
ただし、イスラエル〔の民〕が祭司として召されたのは、〔自分たちのためだけではなく、〕世界の諸民族のためでした。なぜなら、世界はすべて神のものだからです(5節)。

イスラエルは、聖なる神の御前で世界の諸民族を代表するために召されたのです。それはまた、諸民族のために祈り、執り成すようにという召命でもありました。そして、イスラエルは諸国の平和のために働くという召命でもありました。なぜなら、神は、変わることのない愛と慈しみの神でおられるからです。

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来週、世界の多くの場所において、『第一次世界大戦休戦記念日(Armistice Day)』のための追悼礼拝が行われます。

1918年11月11日の11時、休戦協定が結ばれて第一次世界
大戦が終わりました。この大戦は短期間で終わるであろうと予想されたのですが、数百万人の犠牲を出す結果となりました。そして、今後はいつまでも続くであったはずの平和も、二十年後にもう一つの世界大戦に至るような種を蒔くことになったのです。

わたしたちの世界は、1918年に休戦協定が結ばれたあの日からは大きく変わりました。世界の紛争は、もはや国同士の問題ではすまなくなりました。わたしたちの世界は、『他の人々』を憎むことを動機とするような、『過激な一派の活動』によって苦しむようになりました。この『過激な一派の活動』は、一つの国の中においてさえ活動の場を手に入れ、市民同士の対立を生み出します。

今なお、『休戦協定』が結ばれることが重要です。そして、救世軍が1918年の時と同じように、〔世界の平和をもたらす〕奉仕のために存在することも重要です。

このような〔平和のための〕奉仕を進めることによって、救世軍は、「祭司の王国」が意味していることがらの一端を表しています。

このとき、わたしたちは、現代の平和を願い求めて公に祈りをささげます。この世界の神でおられるお方の御前に、世界の国々を執り成すのです。聖なる祭司〔として神に召されたもの〕として、わたしたちは平和のために祈り、また、平和のために働きたいのです。

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イスラエルにおける祭司の職務には、いわば、イスラエル〔の人々〕と神との間の仲介者としての働きがありました。『救世軍人』と呼ばれるわたしたちもまた、他の人々と〔神との間〕の仲介者ついて行動するように召される時があります。〔その最たる例は、〕声を上げることのできない人々のために、声を上げることです。

第二次世界大戦が終わる頃のことです。救世軍人の一団が東ヨーロッパを訪ねました。住まいを失った人々のためが暮らしの場所を得られるように支援をするためでした。その一団の中に、スタンレー・プリースという名の士官がいました。彼は妻と娘を連れて参加していました。

東ドイツまで来た時、彼らはあるユダヤ人の少女と出会いました。彼女は、どうにかしてポーランドにいる叔父のところに行こうとしていましたが、残念なことに、正式な手続きの書類がそろっていませんでした。そこで、スタンレー・プリースは、自分の娘が身につけていた救世軍の制服を少女の肩にかけ、国境の警備を通り抜けたのでした。

スタンレー・プリースとその家族、またその他のメンバーは、〔彼らの置かれた状況において、〕祭司としての働きを果たしました。見捨てられた人々と彼らの親族との間を執り成すものとなりました。誰からも顧みられない人々がいるところで、〔彼らのために〕声を上げたのです。このような祭司としての働きをとおして、聖なる神の憐れみは具体的に現されるのです。

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このパンデミック〔新型ウイルスの世界的流行〕の間も、救世軍はさまざまな手立てを講じながら、「祭司の王国」、「聖なる国民」のなんたるかを身をもって表しています。

『主よ、あなたの平和の器としてください』という、アシジのフランシスコの祈りを、わたしたち自身の祈りとして心に抱き、また、言葉にしていきましょう。

平和が実現するために、どうか神が、救世軍の奉仕を祝福してくださいますように。また、『第一次世界大戦休戦記念日』を覚えて世界各地でささげられる祈りを祝福してくださいますように。

ご一緒にお祈りをいたしましょう。アーメン

(訳 立石真崇)

※小隊における祈りの資料として訳したものです。日本語の読みやすさを考慮して日本語を補った箇所があり、〔 〕で区別しています。また、今回は、聖書の引用について、日本語の聖書の言葉の区切りに合わせました。