5/17/2021

ブライアン・ペドル大将によるメッセージ(5月第3週のため)


ブライアン・ペドル大将(救世軍の世界全体の責任者)による
聖書からのメッセージ。

インターネット(Facebook)で定期配信中。

以下に日本語訳を紹介します

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これから数週間、みなさんで《人種差別》という問題について考え、祈りを合わせたいと思います。

すでにご存じの方もおられると思いますが、救世軍は『人種差別についての見解表明』を作成しました。それは、「すべての人が《神のかたち》につくられたものであり、尊さにおいてはみな等しいというキリスト教の確信と人種差別は根本的に相容れないものである」からです。人種差別主的な行為は個人を狙いますが、《人種差別》は「社会の構造と仕組みによって、延々と続くことができるもの」なのです。

《人種差別》が社会的に表された例は、世界の植民地時代の歴史に見て取ることができます。 

ヨーロッパの探検家たちが今日の北アメリカ大陸にやってきたとき、この地には多くの先住民族が存在し、〔彼らによって〕タートル・アイランドと呼ばれていました。しかしながら、ヨーロッパの探検家たちはめいめいに旗と十字架を立て、この地が自分の母国のものであると主張しました。

そうするなかで、1867年に英国議会が定めた法律によって、カナダという国が作られました。悲しむべきことですが、カナダの政治的指導者たちは、先住民族を土地から排除するために人種差別的な政策を生み出したのです。

そのための方法の一つが、先住民族の子供たちを対象とした寄宿学校を設立することでした。〔訳注・先住民の同化政策として、『インディアン・レジデンシャル・スクール』という名称で作られた。〕その目的は、子供たちから先住民族の言葉を取りのぞくことでした。目的を達成するために、子供たちは家族から引き離され、学校で生活するように連れていかれました。子供たちは自分たちの〔民族の〕言語を使うことや、自分たちの習慣を守ることを禁じられました。先住民族であるというアイデンティティ(固有性)は奪い取られました。そして、あまりにも頻繁に、子供たちは性的な虐待を受けました。

このような寄宿学校を監督していたのは、ほとんどの場合、教会でした。そのため、教室には十字架が設置されていました。神の苦しみの聖なるしるし〔である十字架〕が、苦しんでいる子供たちと同じ部屋に置かれていたのでした。 

近年ようやく、カナダ〔政府〕は先住民族に対して、植民地主義の害悪を謝罪をしました。そして最近、カナダの救世軍もこの社会的な罪を悔い改め、癒しを求めています。

救世軍のキャンプ場では、『パウワウ』と呼ばれる集会を開催するようになりました。北アメリカの先住民族が入植者と共に集まり、食事や学習を共にし、先住民族の伝統を楽しみます。キリスト教の信仰の中心には、「神はキリストによって世を御自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちにゆだねられた」という確信があります(コリント二5・19)。「和解」には多くの面があると思いますが、その一つとして、先住民族と入植者の和解があります。

和解のためのもう一つの重要な課題は、先住民族で救世軍人となった人々が、〔先住民族としての〕文化的なアイデンティティと救世軍人としてのアイデンティティを調和させることができるように支援することです。過去においては、〔先住民族であり、救世軍人であるという〕これらの二つのアイデンティティを区別することが必要であると感じる人たちがいました。しかしながら、わたしたちは、キリストが信仰も文化的なアイデンティティーも共に存続させてくださると信じます。

救世軍は、先住民族が植民地化を経験してきた地域において、和解という社会的な課題に取り組む必要があります。植民地化と結びつく人種差別は許されるものではありません。 

みなさんにお尋ねします。

  • 世界の植民地主義は、みなさんにどのような影響を及ぼしていますか? 
  • 救世軍は、現代の先住民族のアイデンティティの癒しのために、どのように貢献できるでしょうか?

どうか来たる一週間、和解の福音によって、わたしたちの個人の生活、社会の生活が形づくられていきますように。

 アーメン