10/12/2020

ブライアン・ペドル大将によるメッセージ(2020年10月11日のため)

ブライアン・ペドル大将のメッセージ 要旨を以下に訳します。

  

主は言われた。
「わたしは、エジプトにいる 
わたしの民の苦しみをつぶさに見、
追い使う者のゆえに叫ぶ 
彼らの叫び声を聞き、
その痛みを知った。・・・」 
(出エジプト記
37節) 

これまでの数週間、私たちは『創世記』を読みながら、祈りの時を持ちました。そして、アブラハムとサラの生涯、ヤコブとラケルの生涯、ヨセフの生涯において、神がどのようにして働かれたのかを見てきました。『創世記』は、ヨセフがエジプトで暮らすようになったところで話を閉じます。

これまでを思い起こすと、ヨセフは〔兄弟たちに〕売られてしまい、エジプトに連れて行かれました。しかし、王の信頼を得て重要な職務を担うようになりました。そして、聖書の物語は『出エジプト記』へと続きます。聖書の第二番目に位置するこの書物は、わたしたちの神について、神の民について、神の民のリーダーシップ(指導者の資質)について理解するために、きわめて大切なものです。

*****

『出エジプト記』は、新しいファラオ(王)がエジプトを治めるようになったところから始まります。この新しいファラオはヨセフについて何も知りませんでした。ヨセフが賢くエジプトの経済活動を治め、それによって七年にわたる飢饉を生き延びたことも知りませんでした。また、ヨセフの親族がカナンの地からエジプトに移り住んだことも知りませんでした。そしてむしろ、イスラエルの民が自分の王国の脅威になるにちがいないと信じるようになりました。

新しいファラオは、イスラエルの民の数が増えることを恐れ、彼らを奴隷の身分にしました。イスラエルの民の暮らしに、達成しなければならない作業を課し、ファラオの権威を象徴するような都市の建設を命じました。

また、彼は、〔イスラエルの民の〕大量殺りくを計画し、実行に移していきます。〔イスラエルの民の間で〕誕生した子供が女子であれば生かされます。しかし、誕生した子が男子であると、ナイル川に投げ込まれることになりました。本来ならば、川は命を育むものです。しかし、そこが死の場所になったのです。

『出エジプト記』は、奴隷として捕らわれの身となったイスラエルの民についての物語を語り始めます。

*****

歳月は流れ、歳月は流れ、新しいファラオは〔聖書の中では具体的な〕名前を残すこともなく亡くなりました。しかし、〔イスラエルの〕民を抑圧する仕組みは存続しました。苦しみと痛みの中から、ヨセフの民は助けを求めて叫びました。

● この苦しみの只中(ただなか)で、神はどこにおられるのでしょうか。

● この奴隷の状態の中で、アブラハム、イサク、ヤコブの神はどこにおられるのでしょうか。

● わたしたちの世界のさまざまな抑圧の中で、神はどこにおられるのでしょうか。

● 家族が新型コロナウイルスに感染し、会うことさえかなわない人々の苦しみがある中で、神はどこにおられるのでしょうか。

● レスボス島の難民キャンプが火災に遭い、人々が苦悩の中にあるときに、神はどこにおられるのでしょうか。

〔訳注・今年九月末、ギリシャのレボス島にあった欧州最大の難民キャ
ンプ火災で消失、一万人以上の難民が行き場を失ったと報道されている。〕

〔そのような問いに対して、〕『出エジプト記』は、苦しみの叫びは神に届くこと、そして、神がその叫びを聞いてくださることを理解する助けとなってくれます。

主は言われた。
「わたしは、エジプトにいる
わたしの民の苦しみをつぶさに見、
追い使う者のゆえに叫ぶ
彼らの叫び声を聞き、
その痛みを知った。・・・」( 37

この「知った」という言葉は、親が自分の子どもたちに対するように、〔深く関わって〕親しく知っているということです。神は、わたしたちの苦しみを自分のことのように知ってくださいます。

神は、今日も人身取引の犠牲になっている人々の苦しみを知ってくださいます。神は、人種差別を受けている人々の苦しみを知ってくださいます。神と苦しみを受けている人々〔は無関係ではなく、むしろ両者〕の間には、親しい結びつきがあります。新しいファラオはヨセフを知らなかった。しかし、神は、ヨセフの〔子孫であるイスラエルの〕民の苦しみを知られたのです。このような〔人々の苦しみしみを知る〕ことから、神はご自分の救いの御業を開始されのです。

これから『出エジプト記』を読み進んでいく中で、わたしたちは、神が救いの御業をどのように実行していかれるのかを見ることができるでしょう。

*****

今のパンデミック〔新型ウイルスの世界的大流行〕の只中(ただなか)にあって、救世軍人は、苦しみの叫びに意識を向ける人々です。

神がそうであられたように、みなさんの多くが、今日の苦しみの叫びを身近に感じています。

自分自身も苦しみますし、奉仕する先で出会う人々も苦しんでいます。救世軍人の中にも、人種差別によって虐げられ、苦しむ状況にも身を投じている人々
がいます。救世軍人はまた、世界の各地で戦いの火の手が上がり、破壊的な状況がもたらされている苦しみをも知っています。

わたしたち自身も、苦しみの叫びに耳を傾けましょう。そして、神が救い出してくださる恵みに応答しましょう。わたしたちは、苦しみから距離(ディスタンス)を置くものではなく、むしろ寄り添い、応答してきました〔し、今後もそうでありたいのです〕。

苦しみを覚えている世界の中で、〔お一人ひとりが〕救世軍の使命を具体的に現していくときに、どうぞ祈りの支えがあることを覚えてください。

これからも、神が苦しみの叫びに耳を傾けてくださるお方であると、ご一緒に知っていくことができますように。

そして、このように〔神を〕知ることによって、変化がもたらされますように。

神の祝福がみなさんにありますようにお祈りいたします。 

 

※祈りの資料として、個人で訳出したものです。
日本語の読みやすさを考慮して日本語を補った箇所があり、〔 〕で区別しています。