2022年5月21日 インターネット配信
【訳】
キリスト教の暦(こよみ)には、大切な節目がたくさんあります。
キリスト者はとくに、自分たちの信仰の核となる節目として、イエスの生涯における出来事を重んじています。〔たとえば、イエスがお生まれになった〕クリスマスや〔イエスが復活された〕イースターなどは、わたしたちの生活にとっても重要な意味を持っています。
しかし、あと数週間で、キリスト教会は、もう一つの重要な節目に心を傾けることになります。それは、ペンテコステの日(聖霊降臨日)です。
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ペンテコステは、キリスト教の暦の中で〔クリスマスやイースターに並んで〕大切な時です。ペンテコステは、〔聖霊が弟子たちに降り、教会が誕生したという〕〈新しい始まり〉を表しています。
ただし、わたしたちは、聖霊が〔ペンテコステよりもはるかに〕昔から、この世界に存在し、働いていたことを心に留める必要があります。
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聖書の始めの部分を思い起こしたいと思いますが、聖書は、世界が創造された時にすでに聖霊が働いていたということを指摘しています。『創世記』は次のように始まっています。
初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。(創世記1章1、2節)
〔旧約聖書で使われている〕ヘブライ語の「霊」という言葉には、「息」や「風」と意味があると言われています。わたしたちの世界が創造されたときから、神の霊〔である聖霊〕が、神の息吹(いぶき)として働いているのです。
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聖書の『詩編』には、神の創造の御業をうたったものが多くあります。
詩編104編もその一つです。
この詩編は、泉、野の獣、山々、草木、主の木々、若獅子、さらには深海の生き物までも、〔神の〕霊がその内に働いていると述べ、神の創造の御業の豊かさに注意を促しています。神は、被造物が戯れることができるような世界を作られたのです。
29節と30節に注目しましょう。
息吹を取り上げられれば 彼らは息絶え 元の塵に帰る。
あなたはご自分の息を送って 彼らを創造し 地の面を新たにされる。
神の息であり、神の霊である聖霊は、世界の命の創造と刷新のために働いているのです。
それですから、詩編の作者が次のように感嘆するのも不思議はありません。
主よ、御業はいかにおびただしいことか。
あなたはすべてを 知恵によって成し遂げられた。
地はお造りになったものに満ちている。(24節)
神の霊は、命を吹き込む神の息として、さまざまな知恵が組み合わされた世界を創造しました。〔それですから、〕わたしたちは、地球がすばらしく多様でありながら、同時につながりを合っている世界であることを実感することができます。
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教会もまた、聖霊の創造的な働きの表れです。ペンテコステの日は、エルサレムに集まっていた弟子たちに聖霊が命を与えてくださったことを祝う日です。この日に、教会が聖霊によって生まれたことも、〔世界の創造と同じように〕神の知恵の表れです。
救世軍もまた、聖霊の創造的な働きが織り成されたものの一つです。130ヶ国以上の地で奉仕する救世軍は、神の多様な恵みを体現しようとしています。また、知恵を絞り、工夫を凝(こ)らして実践しようとしています。〔救世軍の働きは、〕変更のきかない、融通の利かない計画表はありません。パンデミック〔新型ウイルスの世界的流行〕や国際紛争が頻発するこの世界においては、自分たちの対応の一つ一つについて、〔聖霊の創造的な働きを通して現される、神の〕知恵が必要です。
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わたしたちはペンテコステの日に向かっていますが、神の息吹、神の霊である聖霊が〈命の与え主〉であることを覚えたいと思います。
また、〔神の多様な〕知恵のうちに、キリストの教会〔が、また、そのお互いにその部分であるわたしたち〕が存在していることを心に留めたいと思います。
この時代にわたしたちが神の教会であるために、どうか神がわたしたちに知恵を与えてくださいますように。
小隊や個人の祈りの手引きとして、ブライアン・ペドル大将がインターネットで発信されたメッセージを翻訳し、紹介します。日本語の読みやすさを考慮して日本語を補った箇所があり、それについては〔 〕で区別しています。(訳 立石真崇)